朝日新聞の土曜版「be」をまとめた本『うたの旅人』と『愛の旅人』を読めば、旅に出た気分に。
怪しいウィルスの影響がじんわりじんわり私の方にもやってきている気配を感じます。来月予定していた地方の友人との集まりもウィルスの影響でどうも中止になりまそうですし、来週末にようやくチケットを手に入れたラグビーのトップリーグの試合もどうなるかわからない状況。来るメールも、イベントの中止、営業時間の短縮のお知らせばかり。そもそもメール自体は少ない。いけないことばかりではないと思いますが、社会の動きはスローになっているように思えます。
自宅でテレビを見ていてもこのニュースばっかりでなんだか気が滅入るので、仕事の合間を見て、以前ネットでポチッとしていて積んでおいた本をいろいろと読んでいます。
写真は、その内の4冊。朝日新聞出版の『うたの旅人』の2巻と『愛の旅人』の2巻です。どちらも朝日新聞の土曜版「be」の連載をまとめたもので、出版されている年から察すると、『愛の旅人』の方が先に連載されていたのかもしれません。会社員だった時には、業界新聞を含めて数紙を読んでいましたが、老眼が進んで新聞が読みづらくなったので、もうどの新聞もやめてしまいましたが、朝日新聞は学生時代よりずっと宅配してもらっていた新聞です。
土曜版の「be」、特にこの連載は題材に興味があり、時には切り抜きでキープしておくほど好きでしたので、単行本になったのを見つけて買っておいたのです。
『愛の旅人Ⅱ』の中に『大草原の小さな家』が語られています。テレビ映画にもなりましたのでご存知の方も多いはずです。もう20年近く前になると思いますが、アメリカを代表するブーツメーカー『レッド・ウィング』の取材に行った時に、主人公のインガルス一家が住んで家(復元)を案内してもらいました。この本の中でもその家の写真が掲載されていて、「ここだ、ここだ」とひとりで興奮を。中に入れてもらったら、とても小さな家で、ここに一家が住んでいたんだと驚いたことを思い出しました。『レッド・ウィング』の本拠地はミネソタ(ちなみに街の名前もレッドウィング)でしたので、てっきりこの家も州内にあったと思っていたら、本にはカンザス州と書かれていました。読むと一家はウィスコンシン、カンザス、ミネソタ、サウスダコタと移り住んだと書かれています。家があるのはカンザスですが、サウスダコタのデスメットの方が小説の舞台として有名とも書かれています。
『うたの旅人』はとても好きな連載でした。新聞で連載されていた時に、『渡良瀬橋』の記事、それも森高千里さんではなく、カバーした河口恭吾さんのことを書いた記事があり、とても素敵だったと記憶していますが、残念ながら『うたの旅人』の2冊には転載されていませんでした。それでも美空ひばりの『川の流れのように』から、かぐや姫の『神田川』など、きちんと現地や人物を取材して話は多岐にわたり、しかも旅情に溢れている。井上陽水の『最後のニュース』はそこに書かれている筑紫哲也さんの姿を思い出して、涙が出てくるくらいです。
どれも読んでいるだけで、そこにいるような気分になれる。旅した気分になれます。いつかこんな文章が書けたらいいなぁ、と思いながら、仕事の合間に読み返す日々を過ごしています。